「今は空きがありません…」

そういって、入り口に入った途端 資料を見せてくれるまでもなく、門前払い…。いくら不動産を回っても、回っても、私たちに物件を紹介してくれる不動産はありませんでした。これは、私がまだ25歳だった時の話です。

今から18年前、たくさんの想いと夢を抱き、私たちは希望に満ち溢れていました。

けれど、そんな自分たちの思いとは裏腹に、社会はこんな若造に何ができる…そんな眼差しでした。やっとのことで場所を提供してくれる不動産と出会い、私たちは「愛と勇気と炎の拉麺屋たいらん」を泉中央にオープンさせました。

25歳の私は、右も左も、何もわからないまま、ただ、ただ必死でした。

スタッフにもお客様にも自分を大きく見せることに必死でした。

お客様が注文したメニューを待つ間に、電話越しに「今 たいらん。早くおいでよ!」そんな会話をしているのを聞いて、誰かと誰かの日常に私たちが居る事に、嬉しくて…嬉しくて…

いちいちキュンキュンしたのを覚えています。

初めて地元のローカルテレビが取材に来てくれた時は、私たちだけでなくスタッフみんなも喜んでくれました。常連のお客様も放送時間をテレビの前で待ってくれました。

たった二人で開けたラーメン屋が、いつの間にか、たくさんの方々に見守られていることに気づいた瞬間でした。

沢山の仲間が出来ました。私にとって、これが一番の財産です。

手を貸してくれるスタッフを何より大事にすること。それは、修行元の社長から教わったことです。家族のように社長は私たちを可愛がってくれました。スタッフが楽しめていないとお客様には伝わらない。お客様を巻き込むことはできない。

何よりここが大好き!みんなにそう思ってもらって、関わるスタッフみんなの帰る場所になりたい。

いつの日からか、それは、私が一番大切にしたい想いになっていました。

長く居た弟子が育ち、独立しました。結婚して子供が生まれたスタッフが「ただいま」って帰ってきます。夢をかなえて教員になったスタッフがいます。警察官になったスタッフがいます。

「ただいま!」その合言葉は、私にとって最高のご褒美です。

忙しくて、娘の運動会に行きたくて、でも、行けなくて…泣きながら店に立っていた時、励ましてくれたのは、常連のお客様でした。お店でイベントを企画するたびに、たくさんのお客様が差し入れをもって、わざわざ行列に並んで下さいました。

私が踏ん張る時、娘たちは、いつもお店のマーボ-焼きそばと共にお留守番でした。私の隣にいつも娘たちの頑張りがありました。小さな私の宝物の一つ、長女は今年20歳になりました。

そうやって、無我夢中でやっていくうちに、気づいたら18年もの月日が流れていました。

「たいらん」は、私の人生そのものです。

今回、0からつくった「たいらん」を離れるということに、言葉で言い尽くせない沢山の想いがあります。けれど、これは、そこを越えるものと出会いたい。自分で自分を超える最大のチャンスであり、戦いです。

今回の独立に向けてたくさんの支えがありました。「何でも言えよ。」「頑張れ!」ご自身の事業が忙しい中、自分のことのように考えてくれ、親身になってくれた経営者の先輩方。

いつもそばで私の夢を応援してくれ、見守ってくれる幼馴染たち。私が思い描くものを声にしなくても感じ取ってくれ、いつでも応えてくれる大切なスタッフ、仲間たち。

今から始まる私のゼロは、こんなにも手を差し伸べてくれる方々のぬくもりに溢れた、最強のゼロです。スタッフもこれまで共にやって来たメンバーが5人一緒です。

その声に…その想いに…「こいつを応援してよかった。」必ずそう言っていただけるように、全力で勝負します。

「丹心」とは、真心の意味です。

運命的な出会いの元に、これまでの私の毎日に寄り添っていただいた貴方には、ありがとうの想いを積み重ねます。

そして、これから出会う貴方には、新たな歴史を刻んでいく先で運命が変わる出会いだった!そう言っていただけるよう、気取らず全力のおもてなしをして参ります。

隣のおうちに遊びに行くような感覚で、ぜひ、一度 ご来店ください。

平成30年4月

運命を変える拉麺屋 丹心(たんしん)
SHIHO(三塚詩穂子)